身体拘束最小化に向けた当院の取り組み

2026年07月09日

当院では、患者さま一人ひとりの尊厳と意思を尊重し、安心して療養していただける環境づくりを大切にしています。

身体拘束は、患者さまの自由な行動を制限し、身体面・精神面に大きな負担を与える可能性があります。そのため当院では、患者さままたは他の患者さま等の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を行わないことを基本方針としています。

転倒・転落の危険、治療上必要なチューブ類の自己抜去の危険、せん妄や認知症症状による不安・混乱などがみられる場合であっても、まずは身体拘束に頼らない方法を多職種で検討し、患者さまの安全と尊厳の両立を目指します。

1.身体拘束最小化チームによる取り組み

当院では、医師、看護師、リハビリテーション職員、薬剤師、医療ソーシャルワーカー等の多職種が連携し、身体拘束の最小化に向けた取り組みを行っています。 身体拘束最小化チームでは、身体拘束の実施状況を定期的に確認し、身体拘束が行われている場合には、できる限り早期に解除できるよう、代替方法やケアの工夫について検討します。

2.身体拘束に頼らないケアの実践

身体拘束を必要としない療養環境を整えるため、患者さまの状態や生活背景を丁寧に把握し、以下のような取り組みを行っています。

  • 痛み、不安、せん妄、認知症症状、睡眠、排泄、空腹、環境変化など、行動の背景にある原因の評価
  • ベッド周囲や病室環境の調整
  • 見守り体制の工夫
  • 生活リズムの調整
  • 転倒・転落予防に向けたリハビリテーションや離床支援
  • 薬剤の影響確認と適正使用に向けた検討
  • 患者さまの思いや生活習慣を踏まえた個別的なケア
  • ご家族からの情報を活かした安心できる関わり

患者さまの「なぜその行動が起きているのか」を多職種で考え、身体拘束ではなく、原因への対応と環境調整によって安全を確保できるよう努めています。

3.やむを得ず身体拘束を行う場合の対応

患者さままたは他の患者さま等の生命・身体を保護するため、緊急やむを得ないと判断される場合に限り、必要最小限の身体拘束を行うことがあります。

その場合も、以下の3つの要件をすべて満たすかを慎重に確認します。

切迫性
生命または身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと
非代替性
身体拘束以外に安全を確保する方法がないこと
一時性
身体拘束が一時的な対応であること

実施する場合には、患者さまの心身の状態、身体拘束の内容、実施時間、緊急やむを得ない理由を記録し、患者さま・ご家族への説明に努めます。また、実施中も継続して状態を確認し、要件に該当しなくなった場合には速やかに解除できるよう検討します。

4.院内指針の整備と職員研修

当院では、身体拘束最小化に関する院内指針を整備し、全職員が共通した考え方で対応できる体制づくりを進めています。 また、職員を対象とした研修を定期的に実施し、患者さまの尊厳の保持、身体拘束の代替方法、認知症・せん妄への対応、転倒・転落予防、薬剤の適正使用などについて学びを深めています。

5.患者さま・ご家族とともに

身体拘束の最小化には、患者さまご本人の思いや生活歴、ご家族からの情報がとても大切です。

入院前の生活の様子、普段の過ごし方、不安になりやすい場面、落ち着く声かけ、睡眠や排泄の習慣などをお知らせいただくことで、より安全で安心できるケアにつなげることができます。

当院は、患者さまの尊厳を守りながら、安心して療養できる環境を整えるため、身体拘束の最小化に向けた取り組みを継続してまいります。